停電ショックを吹き払う快投だ。札幌地区で、東海大札幌が立命館慶祥を7-0の8回コールドで下し、3年ぶりの秋全道大会切符をつかんだ。台風15号の影響で停電が続く千葉・君津市出身の右腕エース、上村塁(2年)が8回を5安打4奪三振無失点で抑えた。

カットボールがさえた。スライダーで空振りを取れず、新しく覚えた新球は「いつも以上にキレていた」。相手のバットの芯を外して、奪ったアウト24個のうち18個がゴロアウトだった。直球は自己最速を1キロ更新する139キロをマークして「納得の投球です」。無四球に大脇英徳監督(44)も「結局、投手がしっかりリズムを作れば良い形の試合ができる」とほめた。

家族を勇気づける投球だ。先輩をきっかけに千葉から野球留学している。台風15号の影響で実家も4日間、停電した。それでも14日の初戦・札幌東戦から母紀子さん(49)が応援に駆け付けた。3戦23回2失点と好投した勇姿を見守り、「北海道に来て良かったです」と紀子さんにも笑顔が戻った。

名前の「塁」は野球が好きだった祖父・一吉さんに名付けてもらった。バスケットボール日本代表のエース八村塁と1文字違い。NBAのドラフト指名で注目された今夏から、学校では「八村塁」と呼ばれるという。「八村さんよりも有名になりたい」。ビッグな存在を目指して15年センバツ以来の聖地を狙う。【西塚祐司】