夏の全国王者、履正社(大阪)は綾羽(滋賀)に逆転勝ちで準々決勝に進出した。

3点リードの4回、無死一塁から連続三振を奪ったところで先発・岩崎峻典投手(2年)が突如乱れた。直前まで毎回の7奪三振と好投していたが、連続四死球で2死満塁とすると、そこから連打と失策が絡んで一時逆転を許す4失点。「4番の人に死球を当てて気持ちが揺らいだ。イニングの中で立て直せなくて大量失点になってしまった」。同点の5回には、2死満塁から9番岩崎が自ら「狙ってました」と2球目のスライダーを捉え、左越えに勝ち越しのグランドスラム。この回計5得点で試合をひっくり返した。6回にも5得点し、計13安打13得点と打力で押し切った。

自らの手で点を取り返しても、エースの表情は浮かなかった。「球が走っていなかった。甲子園がかかっていて、自分が抑えないと勝てない。変に力んでしまった。(今日は)ワーストの投球」とうつむいた。

昨秋の近畿大会では前エースの清水大成が準々決勝で完封勝利し、センバツ出場へ前進させた。岡田龍生監督(58)は「去年はここ一番で清水がいい投球をしてくれた。(岩崎も)それができるかどうか」。次戦は27日の準々決勝で京都翔英と対戦。勝てば3季連続の甲子園出場が濃厚になるだけに、エースの浮沈は大きく関わる。岩崎は「去年は清水さんのおかげでセンバツに行けた。今年は自分の力で行きたい。(登板があれば)全力で行きます」と新エースの意地を見せる。【望月千草】