明徳義塾(高知3位)の米崎薫暉(くんが)内野手(1年)が夏の甲子園から成長の跡を見せた。3点リードの7回に中前タイムリーを放った。

二盗も決め、ダメ押しのホームも踏んだ。遊撃の守備でも2戦連続無失策で、チームの4強入りに貢献した。「打撃の調子は上がっています。いい場面で打てて良かった」と笑みを浮かべた。

米崎の父・薫臣(くんじ)さんは、此花学院から日本生命に進み、88年ドラフト1位で近鉄に入団。その後は阪神でもプレーした。現役時代は強肩の遊撃手でならしたが、米崎は英才教育を受けたわけではない。「小さい頃から野球をやっていたが、自由に楽しくやっていました」。伸び伸びと育ったが、高校進学で生まれ育った大阪・豊中市を離れる決断を下す。「大阪の強豪校に行っても、甲子園に出るチャンスは限られている。明徳の話を聞いた時に、甲子園を目指せる場所なので、すぐに決めました」。

高知県須崎市の山中にある同校の寮生活は当初、カルチャーショックだったという。「学校への山道で着く前に酔ってしまった。最初は泣きそうでした。すぐに慣れましたが…」。スマートフォンの所有は禁止で、寮に1台あるテレビを見るのが、数少ない娯楽だ。「野球と勉強以外、することがない。その分、野球に打ち込めている」と話す。

今夏は1年生ながら、遊撃手のレギュラーとして甲子園の土を踏んだ。智弁和歌山との2回戦では、1点リードの7回に目の前の打球がイレギュラーし、同点タイムリーを許した。「腰が高くなってしまった。あそこでゲッツーを取れていたら、勝っていたかもしれない」と今も悔やむ。新チームになってからは、基本に立ち返って、守備練習をこなしている。

あと1勝で2季連続の甲子園出場が確実になる。「甲子園は悔しい思いをした場所なので、いい印象にしたい」とリベンジのためにも全力で準決勝に臨む。【田口真一郎】