加藤学園(静岡2位)は、5-4で近大高専(三重1位)を下した。延長10回に平尾勝多(しょうた)外野手(1年)が、重盗を成功させ、決勝点を奪った。

2校とも初の準決勝進出。県勢2校の4強入りは、静岡高と日大三島が準決勝で対戦した14年以来、5年ぶりになった。

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加藤学園は、悲願の甲子園初出場に王手をかけた。平尾の好走塁が、大きな白星を引き寄せた。4-4の延長10回表1死一、三塁、一塁走者の大村善将内野手(2年)が盗塁を狙い、二塁に向かって走った。捕手の二塁送球が高く浮いたのを見逃さず、三塁走者の平尾が一気に本塁へ生還し、重盗を成功させた。「走塁には自信がある。(カットに入った)セカンドは捕れないと思ったので、思い切ってスタートした」と、冷静な判断が光った。

肥沼竣投手(2年)が、26日の初戦・大垣西戦(6-1)に続いて2試合連続完投。力投するエースを野手は好守でもり立てた。9回裏に同点ソロを被弾。さらに2死走者なしから、相手1番打者の打球は左翼後方へ飛んだ。これを9回から守備固めで起用された菊間右響(うきょう)外野手(2年)が、背走しながら好捕。抜けていればサヨナラのピンチを迎えていただけに、値千金のプレーだった。ベンチで控える間に、打球の傾向を観察していた。「流した方向に強い打球が飛んでいたので、頭を越されないように意識していた」と胸を張った。

野球部は1996年(平8)に創部。春夏通じて初の甲子園は、目の前に迫った。東海地区のセンバツ出場枠は「2」。決勝に進めば、出場が確実視される。準決勝の相手は、春夏通算56度の甲子園出場を誇る名門・県岐阜商(岐阜1位)。平尾は「勝つために自分が何をできるか考えたい」と冷静だった。大一番を制し、聖地への切符をつかみ取る。【古地真隆】