静岡県勢2校が、来春センバツ出場確実となる決勝進出まで、あと1勝に迫った。藤枝明誠(静岡1位)は、6-4で豊川(愛知3位)に辛勝。

1点差の9回に斉藤龍幸内野手(2年)が、2点適時打を放った。県勢2校の4強入りは、静岡高と日大三島が準決勝で対戦した14年以来、5年ぶりになった。

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貴重な一打だった。9回表1死満塁。藤枝明誠の3番斉藤は、絶好の場面で打席に入った。ベンチからの「頼むぞ」といった言葉も耳に入っていた。「ここで点を取らないと、次の守備が厳しい。みんなのためにも、1点でも多く稼ごうという思いでした」。1ボールからの2球目、まん中高めをたたくと、打球は左前に抜けて2者が生還。「自分の役割を果たせました」と、胸を張った。

新チームの始めは4番だった。だが、地区大会で絶不調。チャンスで打てず、県大会で6番に降格した。それでも、その舞台で持ち前の勝負強さを発揮。5試合で10打点を挙げ、チームの優勝に貢献した。今大会では、再びクリーンアップに復帰。「こういった大きな大会で中軸を任されたので、チームのために自分が打つつもりでした」。

ベンチスタートの小牟田都希(とき)外野手(2年)も、自らの役割をこなした。9回に一塁走者の代走で登場すると、すかさず二盗。斉藤の左前打で迷わず本塁へ突入した。「積極的な姿勢を見せて、相手に圧を与えたかった」。結果はセーフで、貴重な追加点をもたらした。愛知・安城市出身。同校進学を志望した際には、寮が満室。母親と藤枝市内に引っ越す意向を固めると、空き部屋ができたとの連絡を受け、入学後に入寮。初志貫徹の姿勢が、実を結んだ。

次戦の相手は、甲子園春夏通算11度優勝の中京大中京(愛知1位)。同校OBの光岡孝監督(41)は「相手は優勝候補ですが、勝つ可能性はゼロじゃない。しっかりと準備したい」と力を込めた。2017年夏以来の甲子園が、現実味を帯びてきた。【河合萌彦】