大阪桐蔭(大阪1位)が明石商(兵庫2位)を下して4強入りを決め、2年ぶりのセンバツ出場を濃厚にした。

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1万人近い大ギャラリーの前で「ゴンちゃん」こと大阪桐蔭・西野力矢内野手(2年)が主役になった。3点を追う3回2死一、二塁。「低めの変化球をどれだけ見逃せるかが、カギになると言われていた。甘い真っすぐを狙ったら打ち崩せる」。狙い通り2球連続で見送り、カウント2-0から外角直球を「初めて」という逆方向、右翼席へ運び去った。「僕が打ったら流れが来る。打ちたいなと思っていた」。明石商の最速151キロ右腕・中森俊介(2年)に同点3ランを浴びせると、6回にその中森の暴投で勝ち越した。

プロも注目する高校通算23本塁打の大砲。あだ名の由来は、NHKで1990年まで放送された子ども向けの人気工作番組「できるかな」に登場する「ゴン太くん」に似ていることから。3頭身でコミカルかつ愛らしい動きをする本家とはほど遠く、打席に入れば180センチ、95キロの体格から強烈な打球を放つ。西谷浩一監督(50)は「効果的な1発」と愛され役のゴンちゃんの活躍を称賛した。

昨秋は近畿大会準々決勝で智弁和歌山に敗れ、センバツ出場を逃した。1年秋から試合に出場する西野は「悔しさは今もある」。夕日が沈む中で流れた相手の校歌も景色も忘れられない。今大会前には引退した3年生が練習補助を買って出てくれ「頑張れ」とエールももらった。「この試合はなんとしても勝ちたかった。その分を返したかった」。今年は春夏とも甲子園出場を逃したが、18年以来のセンバツをほぼ手中にした。西谷監督は「去年はここで負けて悔しい思いをした。このチームはとにかく甲子園に対して飢えているチームですから」。チーム発足時に立てたのは「秋日本一」。11月の明治神宮大会の出場権がかかる頂点まであと2勝と迫った。【望月千草】

◆西野力矢(にしの・りきや)2002年(平14)9月11日、和歌山県紀の川市生まれ。中学時代は南大阪ベースボールクラブに所属。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。180センチ、95キロ。右投げ右打ち。