第92回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に21世紀枠で出場する磐城(福島)は2月29日、同校グラウンドで紅白戦2試合(7回)を行い、一塁手が本職の小川泰生(2年)が2試合目で2安打完封の快投を見せた。

投球制限が実施されるセンバツを前に、エース沖政宗(2年)頼りの投手陣にとって、2番手争いに頼もしい大型右腕が浮上した。また試合後にはセンバツの登録メンバー18人が発表された。

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チーム最長身182センチの大型右腕が、磐城の秘密兵器として浮上した。2試合目に先発した小川は、初回いきなり3者連続三振でスタートすると、7回25人に対しわずか2安打の完封。木村保監督(49)も「よかったですよね。戦力になってくれれば大きい。準備をしないでも投げられるタイプなので、試合中に沖と一時的に交代もできる」と伏兵の好投を喜んだ。

1年の秋は投手だったが、打撃を生かすため2年春から一塁、夏は三塁のレギュラーとして活躍した。昨秋から再び投手を兼任しようとしたが、左もも裏肉離れで白紙に。公式戦未登板だったが、選抜直前で急成長をとげた。甲子園では昨秋から公式戦9試合に登板し5完投(2完封)、防御率0・90のエース沖政宗(2年)頼りからの脱却も求められる。小川は「球数制限もあるし、あの奥川さん(星稜-ヤクルト)だって足をつるんですから、沖にも何が起こるかわからない。勝利に貢献できるよう、投手としても頑張りたい」と熱い決意を口にした。

エース沖も順調な仕上がりだ。1試合目でAチームを相手に先発し、初回こそ3安打で1点を失ったが、3回以降は5イニングをパーフェクト。右腕佐藤綾哉、左腕国府田将久の1年生コンビも完投し、小川とともに沖を支える準備は整いつつある。

試合後には甲子園のベンチ入りメンバー18人が発表された。部員19人から1人外れるという厳しい状況となり、外野手が多いチーム編成上、菅波陸哉外野手(2年)が外れた。岩間涼星主将(2年)は「選ばれた18人は、外れた1人の思いを背負って、甲子園で勝つために戦う使命がある。菅波に認めてもらえるよう頑張りたい。メンバーが決まっても、全員で束になって行くことは変わらない」と決意を新たにした。【野上伸悟】