第92回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)の臨時運営委員会が11日、大阪市内で開かれ、無観客での開催を断念し、中止が決定した。

1942年(昭17)から46年まで、太平洋戦争の影響で中断した期間以外では史上初の事態。東北から出場予定だった仙台育英(宮城)須江航監督(36)、鶴岡東(山形)佐藤俊監督(48)らが心境を語った。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、春季大会を含めて各校の今後の予定も不透明となった。

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鶴岡東の41年ぶりセンバツ出場は幻に終わった。鶴商学園時代の79年以来2度目、現校名では初の聖地を目指したが、新型コロナウイルスの影響で願いは届かなかった。11日は鶴岡市内の同校で日本高野連の中止決定を受けて斎藤哲校長(58)と佐藤俊監督(48)が会見を行い、率直な思いを語った。

会見直前に運営委員会からセンバツ中止のメールが届き、斎藤校長は「痛恨の極み。新型コロナについて祈るような気持ちで状況を見ていた。いっこうに沈静化せず毎日感染が拡大している。今日の判断は相当厳しくなると覚悟していたが大変残念」。1月24日の出場校発表、2月20日の選抜旗授与式を振り返りながら言葉をしぼり出した。

さらに「今しなくてはいけないのは(佐藤)監督とともに部員の心のケアに努めることだと思います」と続けた。佐藤監督は「日本高野連の決定を受けて、選手とともに次の目標に向かって頑張るだけ」。中止決定が出たときには選手はすでに解散し「これからどう声をかけるかはしっかり考えたい。選手の夢や目標に向けて、背中を押せる存在になりたい」と決意を口にした。【山田愛斗】