新型コロナウイルス感染拡大の影響でプロにとどまらず、全国高校総体が中止になるなどスポーツを取り巻く環境は厳しい。8月10日開幕予定の全国高校野球選手権(夏の甲子園)の開催可否は20日の日本高野連の運営委員会で方向づけがされる見込みだ。未曽有の混乱の中、新潟明訓を春、夏計8度の甲子園に導いた佐藤和也氏(63=現新潟医療福祉大総監督)が現場を預かる指導者が選手とどう向き合うべきかを提言した。
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佐藤氏は思いのたけを言葉にした。「選手には戦争がなく平和だから野球ができると、ずっと話してきました。ところが戦争以外の思いも寄らないことが起きた。誰も責められないことで野球ができない。本当に大変なことになった」。
高校野球の新潟県大会は7月11日開幕予定。だが、県内全校が活動休止中で再開のめどは立っていない。その中で20日の日本高野連の判断を待つ。「こういう状況だからこそ指導者の導く姿勢、意思が問われる」と、指導者の選手との向き合い方の大切さを説いた。
自主トレは1人でできるメニューはある。自分と向き合って考える時間を持つことも提示できる。春季大会も中止された。重要になるのは夏の甲子園中止の最悪の事態になった場合、特に夏が集大成になる3年生への寄り添い方。「『大会がなくなったので仕方ないからこれで終わり』は絶対にだめ。選手がやり切ったという感覚になるようにしないと。県高野連が選手個々に文書で言葉を送ってもいいのでは」と言う。
今でさえ、好きな野球をやることすら奪われた状態。指導者にとっても正念場だ。「選手が大会中止を、試合で負けたとイコールに受け止められるように。野球ができない今、試合を意識して過ごし、結論が出た時に指導者は個々が頑張ったことを認めてあげることが必要」。
選手にとって今の努力はこの夏だけではなく、この先すべてに通じると言う。「今後、大学などで野球を続ける選手もいれば、高校で野球をやめる選手もいると思います。どのステップに進んでも、今の状況で全力で取り組んだことが生きる。結果として試合ができず悔しい思いをしても、野球をやった、やり切ったという感覚が残るように。そう導くことが指導の仕事です」と指導者の手腕に期待を寄せた。【斎藤慎一郎】
◆佐藤和也(さとう・かずや)1956年(昭31)8月31日、長岡市生まれ。長岡高から日体大に進み、84年から新潟明訓高の体育教員。同時に野球部監督に就任し91年夏の甲子園に初出場。10年夏にベスト8に進出するなど夏7回、春1回、同校を甲子園に導いた。13年から新潟医療福祉大健康スポーツ学科教授になり、硬式野球部監督に就任。20年4月に監督を退き、総監督に就任した。教え子に元広島の投手、小林幹英(現3軍投手育成強化担当)、巨人池田駿投手、中日笠原祥太郎投手、オリックス漆原大晟投手らがいる。

