夏の甲子園34回出場を誇る強豪、龍谷大平安(京都)の原田英彦監督(59)が6日、近況を明かした。

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため休校は5月末まで延長。野球部も3月6日に寮を解散して活動停止になったまま。そんな中、3年生部員32人の実家へ訪問し、激励を続けている。

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龍谷大平安が活動停止して2カ月が過ぎた。部員たちは実家に戻り、自主練習を続けている。これまで原田監督は「自主性を促す、いい機会。自分で考える力がつく」とし、投手陣に練習メニューを渡した以外はすべて選手たちに任せてきた。

だが、休校が5月末まで延長されたことで「3年生が気になる」とメンタル面のケアのため家庭訪問を始めた。もちろん新型コロナウイルス感染防止対策には細心の注意を払っている。車で自ら部員の実家近くへ行き、そこで部員に電話し、家の外など換気のよい場所で1対1で話をする。適切な距離を保ち、もちろんマスクを着用。わずかな時間であっても、原田監督が直接目の前に現れるのは、3年生部員にとって大きな励みだ。

プロも注目する奥村真大内野手ら3年生部員は32人。京都府内からスタートしすでに17人の“家庭訪問”を終えた。「こんなことは初めてですよ」。93年から監督を務め、春10回、夏8回甲子園へ導いた名将はコロナ禍の中、風のように現れ、サッと目標を伝えて去る。「しっかり練習をやっている子とやっていない子がいる。この自主練習はメンバー入りへのまたとない大チャンスだと言ってます」。6月から全体練習を再開し、7月4日からの京都大会に臨む気構えでいる。チーム作りには、集合してすぐに状態のいい選手を選別することが必要となる。「だからこの1カ月(自分で)ペースを上げていかないといけない」と訴える。

18年以来2年ぶりの夏の甲子園を目指す。その開催可否は5月20日の日本高野連での運営委員会で議論される。「やらせてあげたい。甲子園を目指して、ここ(龍谷大平安)に来ているので」。同校の練習グラウンド横には急勾配の約150メートルほどの坂道がある。原田監督は「根性坂」と名付けた。何度も必死に駆け上がり心身を鍛えてきた選手たちを信じ、再集合を待つ。【石橋隆雄】