「夏の甲子園中止へ」の第一報は15日の早朝だった。昼にはテレビでも流れ、自主練習中の球児たちも、あっという間に知っただろう。日本高野連は20日の運営委員会で開催可否を協議するとしている。球児たちは今、どんな気持ちなのか。関東第一(東京)の主将が電話で答えてくれた。

動揺はなかったという。渡辺貴斗捕手(3年)は「まだ決まったわけじゃない。希望は持てる」と落ち着いて話した。活動休止で茨城の実家に戻っている。15日朝、LINE(ライン)ニュースで知り「ちょっと残念」だったが、あくまで20日の結果を待っている。

午前中にオンライン授業を受け、夕方に近所を走り、人混みのない公園で素振りの日々。「去年の秋、帝京さんに負けた。夏に絶対、倒したい」。昨秋都大会3回戦で惜敗。初回に3点を先制し、なお2死三塁で回ってきた。いい当たりを三塁手に好捕された。次こそは-。同じ場面をイメージしながら振っている。

寮を離れる前、米沢貴光監督(44)から「甲子園を取り除いた時、まだ大学でも野球を続けるのか。そういうことを考える時間にしなさい」と言われた。15日の報道の前に「甲子園がなかったとしても、将来の目標は変わりません。(20日は)いつも通り迎え、結果を待つだけ」と言っていた。大学で野球を続け、卒業後は中学校で野球を教えたい。憧れた担任の先生と同じ体育教師を志す。この日も「将来のことは変わらない。いつも通り迎えます」。甲子園があると願って準備する。目指す道があるから、どうなっても、ぶれない。【古川真弥】