日本高野連と主催の朝日新聞社は20日、第102回全国高等学校野球選手権大会の運営委員会をウェブ会議で行い、8月10日から開幕予定だった甲子園大会と、49代表校を決める地方大会の中止を決定した。

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願いは届かなかった。プロ注目の高崎健康福祉大高崎(群馬)・戸丸秦吾主将(3年)は高崎市内の同校で取材に応じ「気持ちの整理がつかない。悔しいというより、仕方がないという諦めの気持ちが強い」と淡々と言葉を選んだ。

最後まで信じていた。15日、甲子園中止の一部報道を目にし、チームのグループラインに記事を転送したが、主将として言葉が出ない。コメントを送ることができなかった。「まだ決定ではない」と自分に言い聞かせ「少しでも希望があるなら、かけてみたいと思っていた」。20日の発表を待ったが、願いはかなわなかった。

チームは緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日から活動休止に。寮も閉鎖となり、自宅で自主練習を送っている。戸丸は主将として、チームメートに電話で活動状況を確認。最後には必ず「夏の大会に向けて頑張ろうな」と言って電話を切る。「全員が夏の大会への気持ちが途切れないまま。取り組めていたと思う」とチームを支えてきた。

戸丸は「『神様は自分たちに乗り越えられる試練しか与えない』という言葉がある通り、乗り越えられる。自分たちの成長のためには、いい期間だったと思いたい」と話し、両手をギュッと握り締めた。「この先の野球で、いつかチームメートと全国の舞台で対戦したいです」。コロナには負けない。もっと成長した姿を、いつか見せるその日まで歩みを止めない。戸丸の言葉に力強さが宿っていた。【保坂淑子】