選手権がなくなった今夏。球児たちはどんな思いで試合に臨むのか。直筆の手紙とともに随時掲載していく。

  ◇    ◇    ◇

東海大菅生(西東京)・杉崎成(なる)内野手(3年)の将来の夢は「プロで3冠王になる」。昨秋まで高校通算48本塁打の主砲は名古屋出身で中日ファン。中学生の頃、落合元監督が3冠王3回の大打者だったと知り「自分も3冠王に」と意識するようになった。単にプロ野球選手になるという夢が大きく膨らんだ。

「全国大会がなくなったことで将来の設計図が狂った選手がいるかもしれません。そこで将来に焦点をあて、自分の将来の夢をここに書きたいと思います」

手紙に純粋な思いをしたためた。5月に夏の甲子園中止が決まった時は実家に戻っていた。覚悟はしていたが、ショックは大きかった。だが、どうあろうと夢は変わらない。「甲子園が中止だから練習しないのも違う。先を見ないと」と、その日も父親とキャッチボールで体を動かした。「この悔しい経験が自分をもっとレベルアップさせ夢をかなえることができたと言いたい」。いちずに、この夏に臨む。【古川真弥】