東北の高校野球・代替大会が、1日の岩手を皮切りに熱戦が始まった。今日8日にお届けする高校野球連載「白球にかける夏2020」は、11日に開幕の宮城編です。

幼なじみバッテリーで、頂点を狙う。大崎中央の最速151キロ右腕、氏家蓮投手(3年)と佐藤駿祐捕手(3年)は、同じ少年野球チーム「一迫山王クラブ」でプレーしてきた。その後、氏家は栗原西中の軟式野球部に所属し、佐藤は宮城シニアでプレー。高校で再びチームメートとなり、バッテリーを結成した。プロ注目の氏家を、佐藤が息の合った好リードで引っ張り、悲願の夏優勝に導く。

コロナ禍で始動が遅れた3月の下旬、今年初めて氏家の投球を受けた佐藤は「ひと冬越えて(ボールが)捕れるかなと思ったほど速くなっていた」と急成長に驚いた。その後の自粛期間で、寮生活の2人は実家に帰省。お互いの家が栗原市内にあり距離も近いことから、2人でキャッチボールやランニングで汗を流しては、野球勘を養ってきた。

優勝して甲子園の夢は消えたが、夏の県大会は開催が決まった。佐藤は「(秋の氏家は)直球主体で変化球が打たれていたが、今は真っすぐが強くなったから変化球も生きてくる。どの球種も空振りが取れる投手になった」と全幅の信頼を寄せている。氏家は「バッテリーの心が通じ合わないと良い結果にならない。配球やサインなどを2人で見つめ直して大会に臨みたい」。幼なじみと迎える最後の夏。強固な絆を武器に、歓喜の瞬間をつかんでみせる。【相沢孔志】