<高校野球青森大会:東奥学園8-0木造>◇15日◇1回戦◇青森県営球場

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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東奥学園(青森)の幼なじみバッテリーが3安打完封で、2人での最後の夏を好発進した。昨秋県8強の木造に、1回にいきなり安打を許したが、最速142キロ左腕・小野魁斗投手(3年)が外角直球を鳴海蓮捕手(3年)のミットに投げ込み空振り三振。2回には死球の走者を、鳴海が強肩で盗塁を刺して救った。

2人は学校のある青森市から約50キロ離れたスキーと温泉で有名な南津軽郡大鰐(おおわに)町出身。2人での自立、成長を求めて進学した。大鰐二小4年から大鰐ジュニアBCでコンビ結成。当初から「絶対に逃げない。攻める」を合言葉にしてきた。

小野は高校入学直後から30メートルダッシュ30本を日課にし、下半身の安定と持久力を得た。筋力アップによる体重増に比例して球速も約20キロ増。得意のチェンジアップで緩急をつけ、2度の3者連続を含む8回12奪三振の好投を披露した。「リードはすべて任せています」と信頼しきる。女房役の鳴海も「あいつは授業でも発言しないし、おとなしい。でも体育と野球だけは人が変わる。性格は知り尽くしています」と尻に敷く。

ともに本格的な野球は高校限りの予定。次は昨秋王者の青森山田戦。9年間の集大成も、攻めの投球&配球を貫く。【鎌田直秀】