島根では、8年ぶりに復帰した開星・野々村直通監督(68)が公式戦初采配。松江南に13-2で5回コールド勝ちした。

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名物監督が帰ってきた。8年ぶりに復帰した野々村監督が、公式戦初采配を白星で飾った。試合前にノックも行い「捕邪飛を打つのが難しい。この年になると…。次からはやめます」と苦笑も、迫力のユニホーム姿を披露した。

10年センバツで21世紀枠で出場した向陽(和歌山)に初戦で敗れ「末代までの恥。腹を切りたい」と発言。問題視されて辞任に追い込まれたことも。直言と個性的な服装で「山陰のピカソ」と呼ばれる。12年3月の定年退職後、画家、教育評論家として新たな人生を歩んでいた。だが、前監督の不祥事で学校が再登板を懇願。次の指導者までならと、引き受けた。

3月1日から指導予定も、新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校。同25日に初めて選手と顔を合わせた。わずかな油断、不注意から大事が起こる「千丈の堤も蟻の一穴から」、弱い者を多く集めて強い者を攻める「群羊を駆って猛虎を攻む」。話したことわざを選手は翌日、紙に書いてベンチに貼った。心をつかむカリスマ性は健在だ。

「甲子園につながらないから夏のスタートという感じはしない。夢の先がないんだから」と大会を率直に評した。それでも「1試合でも勝たせて、たくさん試合をさせたい」。短かった3年生との夏を少しでも長くする。【石橋隆雄】