進学校対決でチーム一の秀才が大暴れした。磐城が5回コールドで安積に快勝。9番清水真岳左翼手(3年)が適時三塁打を含む2安打2死球と、全打席出塁で流れを引き寄せた。

3回表無死三塁では、相手投手の特徴を読み抜いた。カウント3-0とボール先行も、待球の意識はなかった。「速球に自信がある投手と思ったので、真ん中の直球だけを狙っていた」。ジャストミートした打球は右中間を破った。4回には絶妙なセーフティーバントで相手をかく乱した。

校内でトップクラスの成績をキープし、理系の難関国立大を志望する。センバツに続き、夏の甲子園も中止となり、引退して受験に専念するか悩んだ時期もあった。しかし仲間と話し合う中で、「どっちつかずになって言い訳を作るのが嫌だった」と続行を決意。自粛中に1日12時間机に向かったことで、体がなまってしまったが、地道に自主練習を続けてきた。渡辺純監督(38)は「清水が帰ってきたのは大きい。あいつは勉強も死ぬほどやっている。覚悟を決めて開き直れたのは強い」と喜ぶ。昨秋は2番で快進撃を支えた。「いかに相手に嫌がられるかが自分の持ち味」と打順は違っても役割を自覚する。

磐城入学時も学業専念の考えもあったが、地元で有名だった岩間涼星主将、市毛雄大内野手(ともに3年)らが入部するのを聞き、「一緒にやれば甲子園に行けるかも知れない」と野球を続行した。8月の甲子園交流試合を前に、「他の高校が目標を失った中で、自分たちは甲子園に行ける。恥ずかしい姿は見せられない」と頂点を狙いに行く。【野上伸悟】

○…エース沖政宗投手(3年)は登板せず、佐藤綾哉投手(2年)が4回2死まで無安打。5回2安打で完封コールド勝ちにも「全然ダメです。四死球が多い(3)」と納得していなかった。選手の気持ちは「県を制して甲子園(交流試合)」で一致している。4回戦の相手は優勝候補の学法石川。2安打を含む全4打席出塁の清水真岳外野手(3年)は「強豪私学に勝ってこそ意味がある」と真っ向勝負を挑む。

○…3月まで磐城を率い、センバツ21世紀枠出場に導いた県高野連副理事長の木村保氏(49)が職務でいわきグリーンスタジアムを訪れ、磐城対安積戦を観戦した。試合後、「野球ができることに感謝してほしい。負けたら終わりの大会で、勝つことでまた一皮も二皮もむけていかなければいけない。1戦1戦勝つことで強くなってほしい」と教え子たちに期待を寄せた。

▽安積・梅原健主将(3年=コールド敗退に)「磐城は力があった。甲子園レベルだと思った。甲子園でも勝って、全国レベルであることを証明してほしい」