札幌大谷は北海に延長10回タイブレークの末、7-6でサヨナラ勝ちした。1点差に迫った5回2死、背番号18の代打藤井が逆転2ランを放ち、勝利につなげた。カウント1-1、高めに浮いた直球を右翼席へはじき返した。「とにかくつないでいこうって気持ちだった。自分の力じゃなくてなんとか勝ちたいというみんなの気持ち」。驚きと喜びが入り交じっていた。

4番佐藤主将が2回の守備で右肩を痛め、めぐってきた出番だった。4回まで4点を先行される苦しい展開。逆転弾が飛び出すと、ベンチには試合途中にもかかわらず涙を流して歓喜する選手もいた。地区予選は1度もベンチ入りがなく、スタンドで試合を見つめていた藤井。ラストチャンスで最後の1枠に滑り込み、2度目の公式戦出場で放った一打に、努力を知る仲間も一緒に喜んだ。

大好きな祖母弘子さん(77)に縫ってもらった初めての背番号18は「とても重たい。他にもベンチに入れなかった3年生はたくさんいる。自分もその1人だったので気持ちはわかる。メンバーのためにも頑張ろうって思う」。藤井にとって3試合目となる公式戦は、札幌第一との準決勝だ。【保坂果那】