特別な夏が終わった。白樺学園(北海道)は交流試合最終日最後の試合で、山梨学院(山梨)に3-8で敗れた。

   ◇   ◇   ◇

相手の校歌を聞きながら、白樺学園エース片山楽生投手の目から涙がこぼれた。「つらいこともあったけど、これで終わりなんだなと思ったら涙が出てきた」。先発し5回被安打4、4奪三振2失点で交代。その後、一塁に回り、9回の守備の途中でベンチに下がった。納得いく内容ではなかったが「泣いても笑っても最後。できることをすべてやろうと。2失点したが自分らしい投球はできた」とすっきりした表情で振り返った。

最初の打席で甲子園初の申告敬遠を受けた。3回の打席では右腕に死球を受けた。「腕の力が入らなくなったが、最後のマウンドだし、気持ちで投げた」。この日の最速は自己最速に及ばない142キロ。「北大会では145キロを出しても簡単にはじきかえされたので、速さより制球や変化球をどう織りまぜるかで勝負した」。36度の酷暑の中、ゲームをつくった。

視察した日本ハムの大渕スカウト部長は「150キロ近く出て調子がいい時も見ています。今日のスピードはそんなに出てませんが、本来のもっといい時を見ています。今日の結果だけで判断はしません。体のバランス、キレもある。これからの選手」と話した。

プロ志望の気持ちは強いが、今後については北海道に戻ってゆっくり考えて決める。「監督や両親と話し、どうしたいか考えたい。今の時点では進学かプロ志望か五分五分。落ち着いたらゆっくり甲子園の映像も見直したい」。休みながら徐々に次のステージへ目を向けていく。【永野高輔】