横手清陵学院が4-2で横手に逆転勝ちし、2年ぶりの県大会出場を決めた。

大曲工を15年春のセンバツと16年夏の甲子園出場に導いた阿部大樹監督(49)が、今春に部長から監督に就任。2-2で迎えた8回表に「8番一塁」佐藤慎武(しんた)内野手(2年)が中前に勝ち越し打を放つなど“アベチルドレン”が躍動した。この日、県大会(19日開幕)の組み合わせ抽選会も行われ、初戦で能代松陽との対戦が決まった。また、青森県大会(19日開幕)の抽選会も行われ、ともに上位3校が東北大会(10月14日開幕、宮城県)出場権を獲得する。

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横手清陵学院が粘って、粘って「横手ダービー」に競り勝った。四球と失策でつかんだ好機。佐藤慎は「打てば点が入る場面。まったくヒットがなかったから、思い切り振ることだけを意識していました。監督にも鼓舞していただいてきたので恩返ししたかった」。1ボールからの2球目。外角直球。迷わずにフルスイングした今大会初安打が、決勝点となった。

不調が続いても阿部監督の寄り添う力が背中を押してくれた。「もっと思い切って振れば大丈夫だよ」。その言葉を信じて、大会中も体力の限界までティー打撃の自主練習を繰り返してきた。「常に何をしたらいいかを明確に教えてくれる。相手の投手、打者を観察する力も監督はすごいんです」。決勝打も直球を読み切れたからこそ。次は昨秋王者で、今夏も準優勝した能代松陽に「全打席出塁するつもりで、チャンスで1本打ちたい」と挑む。

小松凌主将(2年)も選手の気持ちを乗せる手腕に感謝した。「試合前にも『オレは東北大会や、甲子園を決める試合と同じ熱い気持ちでいるよ』と言ってくれた。自分たちは楽しくなってくるんです」。今夏の県独自大会は8強。秋は県制覇が目標だ。

エース右腕・佐々木晟仁投手(2年)も毎回の12安打を浴びたが、2失点完投。仲間の好守にも救われて要所を締めた。攻撃陣も序盤に走塁ミスなどが多発も、8回には高橋雲外野手(2年)がスクイズを決めて4点目。同監督は「守備からやってきたし、しっかり目標を持つことも出来ている。私自身もユニホームを着て会場に入れることが、どれだけありがたいかを実感しています」。“アベ政権”の改革が、強豪他校を脅かす。【鎌田直秀】