第73回秋季東海地区高校野球県大会(19日開幕)に27年ぶり3度目出場の焼津中央(中部5位)は、常識にとらわれない野球で上位進出を狙う。就任3年目の久保敦広監督(41)の指導の下、打力がアップ。選手たちの志も高まっている。1回戦では、伊豆中央(東部5位)と対戦。部員14人の小所帯で練習時間も限られる中、チーム一丸で勝利を目指している。

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焼津中央の合言葉は「常識を疑え」だ。打撃ではゴロを意識するチームが多い中、同校は角度をつけた打球を重視。久保監督は「ゴロだと相手のミスを期待するようになる。自分はそれが嫌なので、外野へ飛球を打たせるようにしています」と明かした。

打球に角度をつけるため、冬に特訓をした。バックネットに向けてティー打撃を行う際、打席から角度5~10度のネット部分に黄色いテープを貼り、そこを狙わせた。「その角度が最も安打の可能性が高まるんですよ」と指揮官。選手たちも手応えを感じ、リードオフマンの正木陸都外野手(2年)は「角度がついて、飛距離も伸びてきました」と声を弾ませた。

同校は午後7時に完全下校。30分前には練習を終える。約2時間しか練習できないため、曜日ごとに内容を決めている。月曜はオフで、火、水曜は打撃のみ。木曜は守備だけ。金曜に試合形式を行う。文武両道も心がけ、今春卒業した部員14人全員が現役で大学に合格。うち5人は、国公立への進学を果たした。

中部地区大会では、優勝した静岡高から得点した唯一のチームとなった。だが、同戦を機にさらなる打力向上の必要性を感じ、各選手に1日1000スイングのノルマが課された。「目標の甲子園に向けて、このままじゃダメだと思った。ここで満足せず、力を上げて県大会優勝を狙う」と正木。一段と士気が高まったことで、今大会の台風の目となる。【河合萌彦】