八戸西(青森)が7回コールドの10-3で福島商を破り、初出場初勝利を挙げた。

プロも素材を評価する186センチ右腕・福島蓮投手(2年)が3失点完投。打っても2-3で迎えた4回裏1死満塁から中堅に走者一掃の逆転適時二塁打を放ち、チームの勢いを導いた。広岡大和外野手(2年)の左翼芝生席場外弾を含む4打数4安打4打点など、打線も光った。柴田(宮城)、東日本国際大昌平(福島)、花巻東(岩手)も勝って8強が出そろった。準々決勝は17日に行われる。

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福島蓮が福島商との県立校対決を制し、来春センバツ切符獲得へ好発進した。チーム打率4割超えの相手強力打線に序盤に3失点したが、フォークなどの縦変化を有効活用して立ち直った。「かなり打つと聞いていたので5点くらいは取られると思っていた。調子が悪い中で、守備もしっかり守ってくれたので感謝したい。まず1勝。流れも良くなったと思うので勢いで優勝したい」。カウントが悪くなると「コンパクトになって制球がよくなる」と打者の途中でセットポジションに変えるなど、対応力も抜群だった。

ネット裏のスカウト陣も、来秋のドラフト向けて動画撮影した。中日八木スカウトは「こんな魅力のある素材は全国でもなかなかいない」。ロッテ柳沼スカウトも「打ったり走ったりする能力も高い」と高評価した。

学校生活でも大物ぶりを発揮している。62キロの体重を増やすために休み時間に補食を継続中。友人からもらった団子を授業中にもほおばり、担任教師からカミナリが落ちたこともある。やんちゃさに度が過ぎた時は、1番の“好物”の野球を取り上げられ、練習時間中に教室で勉強。「最近は練習がしたいので、先生に怒られないようにしています」。身長も含めて、まだまだ成長中だ。

準々決勝では憧れの存在でもあるエンゼルス大谷の母校花巻東と対戦する。ヤンキースそっくりのユニホームをまとった長身右腕は「タイプは似ていると思うので、大谷さんみたいな投球が出来るようになれたら良い」。3回には盗塁。4回には逆転の適時二塁打後に中飛で三塁にタッチアップ。高い身体能力で、東北の強豪校も食べまくる。まだまだ空腹だ。【鎌田直秀】