メラメラと燃え上がる炎を、昌平(埼玉)・吉野創士外野手(2年)はまなじりに焼き付けた。「無事故で活躍できるよう、心で念じました。今年は勝負の年。まずは春の大会。そして、夏の甲子園に向け、自分たちの力をぶつけたい」と口元を引き締めた。

昌平は6日、埼玉・杉戸の名刹(めいさつ)、杉戸不動尊・宝性院で新年の護摩祈願に臨んだ。初の試みは、地元に根ざした活動の一環であると同時に「結果が出てきた。今年は、いよいよ狙いたい」という黒坂洋介監督(45)の発案だ。狙うは、もちろん甲子園。昨夏の県独自大会は準優勝。秋は、ついに初めて県大会を制した。関東大会1回戦で敗れたためセンバツは逃したが、初の甲子園が見えてきている。60人の部員たちが3体の不動尊に必勝を願った。

30分あまりの祈願の後、高岡邦祐住職が口を開く。

「不動心という言葉があります。それは、お不動様の心です。皆さまの願い事を必ず成就させる決心でいらっしゃいます。皆さまも心が揺らぐ時があるかも知れませんが、負けないように、チームメートと力を合わせて頑張っていただきたい」

吉野は「不動心。自分たちのチームにあった、いい言葉だと思います。苦しい時も声をかけ合って、励まし合って、乗り越えてきたので」と受け止めた。

高校通算43本塁打で、今秋のドラフト候補に挙がる。チームとしては、もちろん甲子園出場。個人としては、プロ入りが目標だ。評価を上げるべく「高校通算65本塁打」を掲げる。「65本、打てば、全国でもトップにいける。ホームランに関しては、全国NO・1になりたい」とこだわりを持つ。

残り22本。そのためにも、この冬は変化球への対応に取り組んでいる。フリー打撃では、球種を言わずに投げてもらう。「ミスショットなく、打ち返せるように。試合さながらの感じで練習しています」。

高い放物線は、見る者の目を引く。アーチを描き続ける先に、甲子園切符とプロ入りの2つを手に入れる。【古川真弥】