センバツ開催を信じ、準備を進める。新型コロナウイルス感染者の急増を受け、東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県で7日、緊急事態宣言が発出された。部活動への影響も避けられない状況だが、昨秋の東京大会を制し、第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)出場を確実としている東海大菅生は対策を施しながら「日本一」の目標へ向かっていく。

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東京・あきる野の東海大菅生グラウンドでは、選手たちの元気な声が響いていた。冬の強化練習3日目。若林弘泰監督(54)は「ここまで、やりたい練習はできてます」とうなずいた。

感染防止へ、できる限りの手を打っている。新年の集合日となった4日と翌5日で全部員、スタッフの抗体検査を実施。全員の陰性を確認した。その上で始動したが、練習は寮生48人のみ。通いの20人弱は自宅待機させている。「通いの子には申し訳ない」が、公共交通機関を使うことによる感染リスクを避けることを優先。寮の食堂は席を離して座り、アクリル板で仕切った。マスク着用や手指の消毒徹底は当然だ。

若林監督は「ある程度、予防できる。ここまでやって出たら仕方ない、というぐらいやってます」と冷静に話した。今春センバツ出場は確実。後は、大会開催を願うばかり。「あると信じてます」と力を込め、続けた。「(関西までの)移動もバスを使えばいい。乗る前に全員が検査を受けて陰性なら、逆に安全。宿舎はフロアで貸し切るとか。野球のために、大人が知恵を出して欲しい」。万一、3大会連続で甲子園中止となれば、野球の危機と考えている。

思いは選手も変わらない。エースの本田峻也投手(2年)は「甲子園がコロナでなくなりそうで怖いです」と正直に明かした。昨夏の独自大会は東西東京決戦を制し、頂点に立った。それでも、その先がなかった。「3年生は優勝しても甲子園に出られなかった。その先輩たちから大会後『ありがとう』と言ってもらい、感謝しかありません。甲子園で飛躍することで、3年生に返したい」と決意する。昨年は、球児にとって、つらすぎる1年だった。その経験を生かす年にしたい。【古川真弥】