仙台育英の「切柱」浅野洸司内野手(2年)が“切り込み隊長”としての責務を全うする。「出塁率にこだわりながら、打撃でチームに勢いを与える」。鬼滅の刃に登場する「炎柱」煉獄(れんごく)杏寿郎のごとく、心をメラメラ燃やす。新チーム始動時は3番打者を務めるも、秋の県大会準々決勝から1番に。打率3割7分8厘をマークし、チーム最多の8盗塁を決めるなど、東北大会V2に大きく貢献した。

背中を追いかける偉大な先輩がいる。15年夏の甲子園で準優勝に輝いたOBのロッテ平沢大河内野手(23)だ。当時小学6年だった浅野は「平沢さんを見て『かっこいいな』と思った。自分も仙台育英で野球をやりたい」。その思いから中学時代は平沢と同じ七ケ浜シニア(宮城)でプレー。オフの冬場に同シニアを訪れた「憧れの人」と会う機会もあった。「平沢さんの手を見せてもらって、とても硬かった。プロ野球選手になるには、このくらいバットを振り込まないといけないのか」と、自らの成長にもつながった。

今冬はスクワット中心のメニューで下半身強化に取り組んだ。「強打の1番を目指している。そのためにも、パンチ力が必要」。昨秋の公式戦では14安打を放つも、長打は2本。筋力アップの練習を経て「自分では気付かないけど、『大きくなった』って言われる」とスケールが増した。自身にとっては初の大舞台。甲子園デビューに向けて「先頭打者ホームランで、スタンドに1発かちこむ」と気合は十分だ。「切柱」の“日輪刀”(バット)で好投手を打ち崩す。【佐藤究】

◆浅野洸司(あさの・こうじ)2003年(平15)8月8日生まれ、仙台市出身。小1からリトルリーグの北六バファローズで野球を始め、中1秋から七ケ浜シニアでプレー。仙台育英では1年秋の明治神宮大会で初ベンチ。2年秋からレギュラーに定着。173センチ、74キロ。右投げ左打ち。家族は両親と姉。