近畿王者が姿を消した。

智弁学園(奈良)は、相手と同じ11安打を放ちながらも、終盤の追い上げが及ばなかった。

プロ注目の前川右京外野手(3年)は4打数無安打。1打点は付いたが、内野ゴロの間に得点したもの。持ち味の打力を発揮出来ずに終わり、涙をこらえきれなかった。

責任を一身に背負った。試合後の取材に応じた前川は、何度もはなをすすった。「負けたのも自分がつなげられなかったからです」。先発したエースの西村王雅投手(3年)が初回に先頭打者弾を浴びるなど、5回までに5失点。3点を追う8回無死一、二塁で打席に入ったが、二塁併殺打に倒れ「バントのサインもなかった。自分がゲッツーという一番やってはいけないことをしてしまった」と唇をかんだ。

チームは安打や相手投手の四死球などで毎回走者を置いたが、決定打を欠いた。前川も好機で内野ゴロや空振り三振。「自分がつないでいたらチームは勝てた。今回、チームにすごく迷惑をかけてしまった。もう1回、夏はチームを助けられるようにやっていきたい」と声を振り絞った。

前川は、チーム随一の練習の虫。今年はチームとして例年より多い毎日1200スイングを振り込むが、前川はその後の個人練習でさらに3時間続けるなど、誰もが認めるストイックな姿勢でこの春を迎えた。納得のいく結果は残らなかったが、この経験を必ず夏への力にする。

▽智弁学園・西村(先発し5回7安打5失点) チームのための投球が今日は全く出来ませんでした。まだまだ自分の力のなさを感じた。この夏勝てる投手になって、戻ってきたい。

▽智弁学園・小畠(8回に1点を献上し) あの1点が試合を決めたと思っているし、あそこを防ぎきれなかったのは課題。自分の甘さです。

◆無失策試合 明豊-智弁学園戦で記録。今大会5度目。明豊は今大会3試合とも無失策試合。