最速148キロ右腕の天理・達孝太投手が今大会最多の164球を投げて、8回3失点で4強進出に貢献した。不振だったが、打線が9安打10得点と援護。優勝した97年以来、24年ぶりの4強だ。

猛攻で8点リードに広げた6回裏だった。すでに122球を投げていた達に、中村良二監督(52)が歩み寄る。7回表に向け「どうする?」と声を掛けた。達は言う。「次に備えてもうちょっと投げたいです」。8回まで続投。終盤も140キロ台の速球を生かした。

それでも「0点です。納得いかない」と手厳しい。1回は3四死球でピンチを招く。3回も被弾などで追いつかれた。球は上ずり、8四死球と苦しんだが大量援護で持ち直した。25日高崎健康福祉大高崎(群馬)戦を134球で完封。28日の雨天中止で中3日に延びた。「(登板前)疲労はまったくなかった。球数をあまり気にせず8回まで投げました」と振り返った。

誰にも計れない潜在能力がある。投球動作分析「motus」(モータス)で振り下ろす右肘の角度を測ったときだ。肘への負荷も算出され、関係者に言われたという。「165キロ投げる投手と同じ負荷がかかっている。165キロ投げるポテンシャルがあるよ」。自信になったひと言だ。球の回転数はプロでトップ級の2500回転もマーク。まさに規格外の伸びしろがある。

193センチ右腕は理想がある。「ダルビッシュさんとトレバー・バウアー、マックス・シャーザー。3人を足して3で割った投手になりたい」。日本の一流投手とサイ・ヤング賞右腕2人の「いいとこ取り」だ。3戦459球で準決勝へ。センバツのマウンドを仁王立ちで圧倒する。【酒井俊作】

◆天理・達の準決勝、決勝での球数条件 29日仙台育英戦で今大会最多の164球を投げた。3月31日の準決勝に積算されるのは25日の高崎健康福祉大高崎(群馬)戦の134球からだ。この日まで298球で、残り202球でゆとりがある。一方、4月1日の決勝はこの日の164球から対象で、残り336球。1週間500球以内の球数制限に達する可能性はほとんどない。

▽天理・政所(達を好リード&勝ち越し打など2安打)「(達は)点が入って球の質が変わりました。(適時打は)センターにライナーを打つ意識でいました」

▽天理・内山(4回に左翼へ2点二塁打)「政所が打ってくれて、自分も続けて追加点がほしい。いままで達に頼る試合が多かった。何とか野手で頑張ろうと話をしていました」

▽天理・杉下(5回に左中間へ2点二塁打を放ち、守備でも遊撃から達に声掛け)「バットを少し短く持って強い打球を打とうと意識しました。(守備中は達に)ほぼ毎球『思い切って投げろ』『楽しめ』と言っていました」

▽天理・瀬(1回の中前適時打など3安打3打点)「チームの勝利に貢献しようと思っていた。しっかり全員がつなぐ意識を持って、できた。みんなで戦えた」

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