全国高校野球選手権新潟大会(7月10日開幕)の組み合わせ抽選が26日、新潟市内で行われた。参加は74チーム(84校)で10日のハードオフ新潟での開会式後の1回戦、正徳館・栃尾-小出で熱戦が始まる。日刊スポーツでは注目の選手を紹介していく。第1回はノーシード、帝京長岡をけん引する茨木秀俊投手(2年)。初戦は2回戦(12日)で小千谷西との対戦が決まった。将来性豊かな最速141キロの右腕にはすでにプロ複数球団が注目。剛腕が混戦模様の県大会でひと波乱を起こす。

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しなやかに振りきった右腕から勢いに乗った直球が繰り出される。茨木の最高球速は141キロ。春先の130キロ台から伸びた。「3年生までに150キロ以上を出したい」。自慢の武器を磨く過程で目指すのは帝京長岡の甲子園初出場。「シード校を倒したい。一戦必勝で優勝を目指す」。エースのプライドがちらつく。

「ベース付近に力のある球が来る。簡単には打たれない」。芝草宇宙監督(51)は言う。2年生ながら、プロ数球団が来年の注目株としてマークを始めた。184センチ、83キロの恵まれた体格に詰まった素質は高く評価されている。

春季県大会、帝京長岡は2回戦で関根学園に1-4で敗れた。茨木は先発して7回1/3を10安打4失点ながら9三振を奪った。春先は練習試合ができず、この試合はぶっつけ本番だった。負けはしたが潜在能力の高さを見せつけた。体重は入学時から7キロアップ。重さ140キロのバーベルをかついでのスクワット10回3セットをノルマにするなど、地道に体を作ってきた。夏を前に成果は、球速や投球内容に表れている。

出身は北海道。甲子園、そして将来のプロ入りを目標に日本ハムなどで活躍した芝草監督のもとにやってきた。「今は3年生と1日でも長く一緒に野球をやりたい。だから自分が投げたら勝たないと。1球1球を大切にする」。寄せられる期待を、茨木は堂々と受け止めた。【斎藤慎一郎】

◆茨木秀俊(いばらぎ・ひでとし)2004年(平16)6月8日生まれ、北海道出身。手稲中央小2年から野球を始め、3年から投手。手稲中では少年硬式野球の札幌東シニアに所属し、3年の時に全国選抜大会出場。帝京長岡では1年夏からベンチ入り。今春から背番号1。好きなプロ野球選手はソフトバンク千賀滉大、オリックス山本由伸。184センチ、83キロ。右投げ右打ち。

 

○…ノーシードの強豪同士が初戦でぶつかる。19年の覇者・日本文理と新発田中央が14日の2回戦で対戦。両校は独自大会だった昨年を除き3大会連続の顔合わせ。いずれも2回戦で過去2戦は18年が7-3、19年は6-2で日本文理の2連勝中だ。ただ現在のチームになってからの練習試合は1勝1敗。日本文理の鈴木崇監督(40)は「しっかりコンディションを整えて臨む」、新発田中央の円山宏大監督(38)は「打ち勝てるようにしたい」と抱負を話した。

 

○…選手宣誓は連合チームの正徳館・栃尾の中村周生主将(正徳館3年)が行う。開幕日(7月10日)に登場する4校の抽選で決まった。連合チームは正徳館4人、栃尾7人の計11人で、合同練習は土日のみ行っている。中村は正徳館で唯一の3年生。平野淳一監督(51)は「自覚と責任感が強い選手。本人と一緒に(宣誓の)内容を決めたい」と話した。