上手投げと横手投げを使い分ける淡路三原(兵庫)の変則左腕、樫本旺亮(おうすけ)投手(3年)が延長10回4安打3失点、155球の完投と決勝2ランで3回戦に導いた。10回は1死一塁で「自分が我慢できずに点を取られたので、前の打者をホームにかえそう」と初球を引っ張り、右翼ポール際に運び去った。

基本は横から、時に上から投げ、踏み出す足は大きくインステップと打者にはやっかいだ。持ち味はサイドからの直球でツーシームとスライダー、チェンジアップ、上からはカーブ、スライダー、フォークを操った。「全体的に良かった。3回以降はリリースの瞬間に指先に力を込められた」。3回から7回までは無安打無失点と波に乗った。

サイド転向はヤング淡路に所属した中学3年。コーチに勧められ「嫌な気持ちはあった」が、腕を下げて制球が安定した。横と上の「ミックス投法」は高校で築いた。打者や状況に応じた使い分けは全て捕手に任せ、サインはフォームと球種の2種類ある。この日は5奪三振ながら「自分だけではなく全員で」とバックを信じて打たせて取った。

憧れの選手はオリックスでブレーク中の19歳宮城。プロ希望も視野にあるが「まずは自分のプレーをする」ときっぱり。夏の激戦を通してさらに成長していく。【岡崎空日南太】