前橋育英(群馬)が外丸東真投手(3年)の熱投で、5大会連続6度目の甲子園切符をつかんだ。強打の高崎健康福祉大高崎を相手に延長12回166球を投げ抜き4安打1失点。5回に先制を許したが、エースの“攻め”の投球に打線も奮起。8回に皆川岳飛主将(3年)の適時打で追いつき、12回に打者一巡の猛攻で5点を奪い試合を決めた。ノーシードから勝ち上がった勢いで聖地に乗り込む。

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1点を追う7回。外丸は先頭の小沢周平内野手(3年)の内角を攻め続けた。ファウルで粘られても根負けしない。直球とスライダーを織り交ぜた14球でカウント1-2。「小沢選手は長打力のある怖い打者。ここで引いたら打たれると思いました。とにかく攻め続けるつもりで、インコースを突き続けました」。15球目のスライダーも内に投げきった。高校通算52発の強打者に空を切らせ、空振り三振。直後8回の同点打を呼び込んだ。

壁を乗り越えた。春季大会3回戦の県太田戦は「相手を怖がって逃げる投球をして」自滅。7回コールド負けを喫した。心の弱さを自覚し「覚悟を決めて攻めの投球ができるように、常に冷静でいること」を練習から意識。そうやって投げ込んできたからこそ、大一番で真っ向勝負できた。そして、冷静に相手を分析したからこその内角15球でもあった。この日の外丸にとっては、内角=攻めではなかった。「(小沢は)インコースが苦手そうに見えたので、長打を恐れずに投げました」。内角=打ち取れる可能性の高いコースだった。

バックも鉄壁の守備でもり立てた。6回1死。三塁線への痛烈な打球を野村慶内野手(3年)が横っ跳びで好捕。さらに好送球で安打を防いだ。荒井直樹監督(56)が本物の守備に必要と掲げる「球際の強さ」「併殺をとる」「本塁で刺す」。この3つを練習からチーム全体で徹底してきた土台が生んだ好守。12回を無失策でエースを支えた。

決勝までの全6試合に先発した外丸。甲子園に向け「逃げの投球をした春の悔しさはいまだに残っています。甲子園で日本一になって完全に晴らしたいと思います」と誓った。聖地でも逃げない-。「頭は冷たく心は熱く」腕を振る。【関根直人】