神戸国際大付(兵庫)の最速147キロ右腕・阪上翔也投手(3年)が甲子園に戻って来る。関西学院との決勝は「3番右翼」で先発し、4点リードの9回に4番手で登板。直球とスライダーを決め球に3者凡退で締め、4年ぶり3度目の夏の甲子園出場を決めた。「三振を取りたかったけど、納得のいく投球でした」。今春センバツでは2回戦の仙台育英(宮城)戦に先発したが、右肘に痛みが出て1回2/3を4失点で降板。チームは5-13で大敗しただけに「今度は自分の思うような投球ができるようにしっかりやっていきたい」と意気込んだ。

阪上は小学6年の夏に大きな決断をした。兵庫の親元を離れ、祖父弘次さんが監督を務めていた和歌山の打田タイガース(現打田ヤングタイガース)で野球をする-。母万季さん(53)が「ユニバも映画館もないけどいいの?」と問いかけても「行く」と12歳の決意は固かった。万季さんも悩んだが、通う中学校が給食制度で祖父母の負担が少ないことで考えを尊重した。

3年間祖父の下で練習を積んだ後、強豪・神戸国際大付に入学。今も寮生活で親元を離れて6年になるが、万季さんは「離れて暮らしているけど、こうやって試合で勝ってくれたり、何より甲子園でプレーしてくれたことが一番うれしい」と優しく見守る。阪上は試合後、「けがもあって不安や迷惑をかけてしまった。甲子園で勝たないと意味がないけど、まずは1つ恩返しできたかな」と両親への思いを口にした。今秋のドラフト候補が、感謝の思いと春の悔しさを胸に夏の聖地で躍動する。【三宅ひとみ】