興国が優勝した75年以来の決勝に進んだ。延長14回、3時間30分に及んだ履正社との準決勝に勝利。熱戦にピリオドを打ったのは、2番・中村莞爾内野手(2年)だった。14回1死満塁から、高めに浮いたスライダーを振り抜き、右翼手の頭上を越えるサヨナラ適時打。「満塁だったので単打でもいいと楽な気持ちでいきました」。準々決勝の先制打に続くV打となった。

忘れられない悔しさがある。昨年9月の大阪大会準々決勝。大阪桐蔭に1-15の5回コールドで大敗した。中村は空振り三振に倒れて最後の打者に。「大阪桐蔭戦は何もできずに負けた。冬は大阪桐蔭を倒すことだけを考えてトレーニングに励んだ」。最後の1打席、最後の1球を脳裏に焼き付けてバットを振り続けた。冬を越え、この日はサヨナラ打で最後の打者に。10カ月前とは違い、ホームベース付近で大喜びする仲間たちの姿が目に飛び込んだ。「3年生の夏を終わらせるわけにはいかない。チームの力になることしかできない」とうなずいた。

頼もしい2年生とともに、46年ぶりにたどりついた決勝の舞台。68年夏の甲子園で初出場初優勝を果たした古豪が、夏3度目の聖地まで、マジック1とした。【前山慎治】