<全国高校野球選手権:近江6-4大阪桐蔭>◇23日◇2回戦

最速154キロ右腕は最後の夏を1度も投げず、甲子園を去った。関戸康介投手(3年)は8回、2年生右腕の川原が痛打されるのを心苦しく見た。「最後は川原に厳しい状況で投げさせてしまった。自分の状態が上がらず、後輩の川原にああいう結果にさせてしまったのは、自分の責任。敗因は自分にある」。

春先はドラフト候補だった。だが、センバツは智弁学園(奈良)戦で救援登板して3度の暴投など、2回持たず3失点。投球フォームを崩し、夏の大阪大会も登板がなかった。西谷監督は「バランスを崩して、投げるところまで持っていけず残念」とつぶやいた。

野球を志してきた。長崎・佐世保から高知の明徳義塾中へ。「何かを得るためには何かを失わないといけない。中学校に行くとき、思い出のモノを持って行かないようにしました」。多感な頃から親元を離れ、覚悟を固めてきた。大阪桐蔭で学び、この夏は不本意な1年になっただろう。

今後は「今のところ大学進学の予定です」と明かした。時折、目の覚めるような快速球を投げていた。指揮官も「将来性豊かな子。悔しさは、次のステージでやってくれるんじゃないか」とエールを送った。【酒井俊作】