夏の甲子園でベスト16入りに貢献した最速150キロ右腕、日大山形・滝口琉偉投手(3年)が、9月上旬にプロ志望届を提出。県大会優勝時の球速は最速146キロだったが、1回戦147キロ、2回戦148キロ、3回戦150キロと甲子園の大舞台で自己最速を3度も更新。成長著しい山形の剛腕がドラフト会議での指名を待ち望んでいる。

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「150キロを出したらプロ志望届を出そうと自分の中で決めていました」。滝口は甲子園3回戦の石見智翠館(島根)戦、7回2死一、三塁、相手7番への6球目に150キロをマークした。試合後は敗戦の悔しさからか考えがまとまらず、「(卒業後の進路は)今はあまりわからないです」と言葉を濁したものの、目標の150キロ超えを果たしたことで、荒木準也監督に翌日、プロ志望の意向を伝えた。

小中学校では捕手、高校入学時は外野手を務め、高1の冬に投手に転向。昨年12月に右肘を手術し今春に復帰した。ブランクがある中、春、夏の山形県大会では13回2/3を投げ、9安打16奪三振4失点と力投。

投手になって約1年半。着実に力を伸ばしてきた滝口は甲子園でも成長を続けた。開幕試合の米子東(鳥取)戦では、3点リードの4-1で迎えた9回無死満塁で、エース右腕、斎藤堅史(3年)から継投。甲子園初のマウンドで13球、3者連続三振の完全救援でチームを勝利に導いた。2回戦の浦和学院(埼玉)戦は6回から継投し3安打1失点にまとめる好リリーフ。剛腕守護神の存在感を示した。

3回戦は2回2/3を投げて4安打5四球2失点という内容で敗戦となったが、「甲子園を通じてまだまだ成長できる部分があると思いました」。全国の強豪と戦い、成長のヒントを得た。「真っすぐばかりでは通用しない、幅広いピッチングが大切だと思いました」。引退後は体づくりを一から見直し、常に体の軸を意識したトレーニングを行っている。体幹のブレをなくし、幅広いピッチングと制球力の向上へ、さらなる成長を図る。

プロ志望届を提出し、荒木監督からは「しっかり練習しなさい」と激励を受け、チームメートや先輩からもエールをもらった。「『頑張れよ』と連絡をもらいました。正直緊張しています。でも指名されることを信じてずっと練習しています」。人事を尽くして天命を待つ。目指してきたプロの舞台へ。レベルアップに手は抜かない。【濱本神威】

◆滝口琉偉(たきぐち・るい)2003年(平15)9月9日生まれ。小学2年時に野球を始める。182センチ、84キロ。右投げ左打ち。50メートル走6・0秒。遠投120メートル。家族は祖母、父、母、姉。好きな選手はオリックス山本由伸投手。