明秀日立のエース・猪俣駿太投手(2年)の投打に渡る活躍で、今夏、甲子園出場した鹿島学園を破り、準決勝進出を果たした。

8回に鹿島学園に逆転を許し、1点ビハインドで迎えた9回1死一、二塁。打席には先発の猪俣。「真っすぐに差し込まれていたから、変化球で打たせてくる」と、冷静にインコース低めのスライダーをすくった。「抜けろ!」心の叫びが、ボールに伝わった。打球は一塁手を強襲し右前へ転がり、その間に二塁走者が同点のホームイン。「ひたすらうれしかったです」。一塁上で大きくガッツポーズを見せた。

猪俣の一打で、流れを一気に引き寄せた。なおも、1死一、三塁で、佐藤光成外野手(2年)が勝ち越しの右犠飛。粘る鹿島学園を退けた。

金沢成奉監督(54)は「鹿島学園さんは経験値の豊かさが違う。でも、うちも最後まで攻めきれた」と振り返った。今夏、優勝候補と期待されながらも4回戦敗退。高い打力の選手をそろえながらも、つながりに欠けた。新チームは「点を線にする」を課題に、強いゴロでしぶとく打ち、つなぐ野球を徹底。同点打の猪俣の打席では、ベンチから「強いゴロ」と声が飛び、しぶとく食らい付いた打球が勝利へつながった。。金沢監督は「今までやってきた成果が、ここで出たと思いますね」と選手たちをたたえた。

猪俣は、投げては低めに丁寧にゴロを打たせ、10安打されながらも、3失点で完投勝利。「エースとして、強い気持ちをもって戦えた。成長できたと思います」と胸を張った。

鹿島学園が敗れ、今大会出場のシード校が全て敗れた。鹿島学園の鈴木博識監督(71)は「打撃戦に持ち込みたかったが、攻撃がちぐはぐになってしまった。思ったよりも打てなかった」と肩を落とした。