日本高野連は10日、大阪市内で臨時評議員会と理事会をオンラインで開き、京大大学院総合生存学館教授の宝馨(たから・かおる)氏(64)の次期会長就任を承認した。15年9月から務める八田英二会長(72)は11月30日で退任し、宝氏が第8代会長に就く。宝氏は14年10月まで京大野球部の監督や部長を務め、学生野球へ情熱を注いできた。「会長に選任されましたことは誠に名誉なことでありまして、大変うれしく存じますとともに、その責任の重さを考えますと、身が引き締まる思いでございます」とコメントした。

宝氏の任期は12月1日から23年5月まで。滋賀・彦根市出身で西宮北(兵庫)では投手や捕手としてプレーしたが甲子園には出場できなかった。京大でも投手として活躍。その後は81、82年と13、14年に京大監督として指揮を執ったほか、部長を14年務めてきた。日本高野連は新会長の選考条件の1つに「学生野球への情熱を持たれている方が望ましい」と挙げてきた。関西学生野球連盟で審判員も7年務めるなど、野球を愛する宝氏に白羽の矢を立てた。

実務派新会長は「大学野球の40年以上を高校野球にどう生かすか。高校野球の発展に微力ながら尽くしていきたい」と抱負を語り、早くも改革案も披露した。

<1>健康管理 八田体制で導入した1週間500球以内の球数制限を踏襲し、さらに夏の大会での選手のコンディション管理に言及。「猛暑、炎天下で試合をしないといけない。選手の健康、観客の健康もある。何かいい方法がないか、工夫していきたい」と話した。

<2>継続試合 今夏の甲子園では降雨ノーゲームが相次いだ例を挙げ「7回に満ちていなくても、途中で試合をストップして、翌日、続きをする継続試合のように続けられればいい。幻の本塁打、幻の奪三振とならないようにできたらいい。早急に検討していきたい」と問題提起した。

<3>女子生徒の野球への関わり 今夏の甲子園期間中に全国高校女子野球の決勝を史上初めて行った。宝氏も「少子高齢化で野球人口が減ることも懸念される。女子の方が野球に携わっていただくのは重要なこと」と話した。来年以降、高校野球を発展させるため、あらゆる方策を検討する。

「春夏の甲子園は高校球児の夢の舞台。夢の舞台を続けていけるよう、尽力していきたい」

新会長の所信表明で、おもに3つの柱が浮き彫りになった。グラウンドで得た経験や知見を生かしつつ、高校野球の発展に全力を尽くす。【酒井俊作】