大学4年間で成長しドラフト1位指名を目指す。今夏の高校野球南北海道大会で準優勝した札幌日大の最速148キロ右腕、前川佳央投手(3年)が来春、日大に進学する。

3日、同大合格が決まった。プロ入りを目指し志望届提出も、ドラフトでは指名漏れ。甲子園に1歩届かず、プロ入りの夢も果たせなかった。ダブルの悔しさをバネに、大学野球で自らを磨き上げ、夢舞台に立てる投手へと、ステップアップを図る。

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4年間、心身とも鍛え抜き、自身の価値を引き上げる。日大に合格した前川は「ドラフトで指名されず悔しい思いもあったが、もう切り替えている。大学1番の投手になって、大学ジャパンに入り、大卒でドラフト1位指名される投手を目指したい」と意気込んだ。

ドラフトでは今夏南大会決勝で投げ合った150キロ左腕の北海・木村大成(3年)がソフトバンク3位で指名され、自身の名前は呼ばれなかった。「高卒でプロになれる同学年を見るのはつらかった」。木村にはドラフト直後にラインで「4年後、同じ舞台に立つ」と送り、木村からも「おう」と返事が届いた。まずは大学でスキルを上げ、ライバルを追い掛ける。

人生、なかなか思い通りにはいかない。小学校卒業時に「札幌の強豪校でエースになって甲子園に行き、高卒でプロになる」と未来図を描いた。中学進学時に遠軽の親元を離れ、札幌の友人宅に下宿。札幌東月寒中に通いながら、元ヤクルト高梨利洋氏(47)が代表、元巨人の兄芳昌氏(51)がコーチを務めるクラブチームT・TBCに入った。元プロの指導者の下で力をつけ、中3時にエースとして全国大会も経験した。

札幌日大では、背番号11で初めてベンチ入りした1年秋の全道決勝で白樺学園に敗れた。エースとして臨んだ最後の夏、北海との決勝で自己最多171球の熱投も、準優勝。2度、聖地を目前に敗れ「いつもあと1歩足りない。大学では、その1歩が届く選手になる」と強い口調で話した。

1学年下の弟周也内野手は現在、札幌日大2年。弟が中学進学する際、家族も遠軽から札幌に引っ越した。「プロにはなれなかったが学生野球でしか学べないものもある。いろんなことを吸収したい」。185センチ、77キロ。長い腕を生かした球威ある直球、鋭いスライダーに磨きをかけ4年後、生活拠点を変えてまで支えてくれた両親に、恩返しする。【永野高輔】

◆前川佳央(まえかわ・よしひさ) 2003年(平15)6月5日、遠軽町生まれ。遠軽丸瀬布小1年時に遠軽北少年団で野球を始める。札幌東月寒中時代は、元ヤクルト高梨利洋氏が球団代表を務めるT・TBCでプレー。札幌日大では1年秋に背番号11でベンチ入り。1年秋の全道準優勝、今春の全道大会優勝、今夏の南大会準優勝。好きな選手は広島森下。家族は両親と弟、妹。弟周也は札幌日大2年。185センチ、77キロ。遠投115メートル。右投げ右打ち。