マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(48)が12日、高松市内のレクザムスタジアムで高松商(香川)ナインを指導し、来秋ドラフト候補でスラッガーの浅野翔吾外野手(2年)も刺激を受けた。

約4時間の指導で、どうしても聞きたいことがあった。外野にいるイチロー氏のもとにバットを持って助言を求めた。「握った時にひとさし指を立てるか、立てないか。自分は立てるんですけど、イチローさんは立てていなかった。『どっちがいいんですか』と聞いたんです。『それは個人の自由だから、いい方を、気持ちいい方を』と言われたので」と明かした。

フリー打撃の実演も目に焼き付けた。「自分も飛ばす時は結構、力を入れて打つ。イチローさんの打撃は『本気で打っている』と言いますけど、見た目が軽く振っているように見える。違うなと思いました」と振り返った。

主将としてチームを束ねる立場で、この日はキャッチボールの相手も務め、遠投で一流の球筋を肌で感じた。「ヤバイです。手が痛かったです」とビックリ。「レベルが違いました。今まで垂れるボールしか見たことなかったんですけど、イチローさんはずっと真っすぐ伸びてくる。あのトップレベルにならないと試合にも出られないと思う。ああいうトップレベルのキャッチボールを意識してやっていきたい」と気持ちを新たにした。キャッチボール中は助言も授かった。「自分は近い距離になったら(力を)抜いてしまう。手投げになってしまう。それを『しっかり腕を振って投げてこい』と」と明かした。

今夏の甲子園大会で智弁和歌山を相手に左翼に本塁打をかっ飛ばした。すでにプロのスカウトから注目されている逸材だ。2日間の教えをこう振り返った。

「テレビでしか見たことがなかったんですけど、実際に目の前に現れたので、いい経験というか、すごいなと思いました。はじめは話しかけづらい感じなのかなと思ったんですけど、1つ言ったことに対して、何個か答えてくれて。これまで自分たちが正しいと思っていたことが、覆されたなと思います。今年の夏、智弁和歌山さんがイチローさんに指導を受けて、すぐに優勝したので、自分たちもイチローさんの指導を受けたので、しっかり結果を残して、来年の夏、いい報告をイチローさんにできたらなと思います」

日本一への志を新たにする2日間になった。