伝統の「黒潮打線」復活だ。千葉県大会では銚子商が2本塁打を含む8安打でセンバツ出場の木更津総合を破り、決勝に進出。春は12年ぶり22回目の関東大会出場を決めた。

相手は格上でも、気持ちは負けない。7回に1点を勝ち越し、なお一、二塁で1番鵜沢智也内野手(3年)。「俺が打つ」と強い気持ちで打席に立つと、フルカウントから内角直球を振り抜き、試合を決定づける左越え3ランを放った。「気持ちだけは絶対に負けていなかった。最高です」と笑顔だった。

新しい歴史を作るために挑んできた。春夏20回の甲子園出場を誇り、夏は全国制覇も果たした古豪。しかし鵜沢は「古豪と言われるのは好きじゃない。昔は強かった、というイメージだから。甲子園に出て、古豪なんて言わせない」と練習に励んできた。コロナ禍には「自分を知ることから」と打撃練習を動画撮影。保護者会にiPad2台を購入してもらい、全体で共有し研究した。「バットをインから出してミートできるようになった」と、勝利に導く一打につなげた。

古くからのファンも多く、球場には約4400人もの観客が駆けつけ、大きな拍手に包まれた。鵜沢は「重い看板を背負っている。結果を出せて良かった」と、胸を張った。【保坂淑子】