浜松開誠館が静清を4-1で下し、春季大会初の決勝進出を果たした。1-1の8回裏、代打・佐野夏之介(なつのすけ)内野手(2年)が決勝の2点適時三塁打を放ち、試合を決めた。また、21日開幕の東海大会(愛知県)への出場を決めた。決勝は、8日に草薙球場で行われる。

浜松開誠館の佐野が一振りで試合を決めた。同点の8回裏2死一、二塁。代打で出番が来た。「絶対に打つ」と打席立つと、カウント1ボールからの2球目。内角低めの直球を捉えた。思い切り振り抜いた打球がぐんぐん伸びる。中堅手の頭を越え、芝生で弾んだ。

決勝の2点適時三塁打。塁上では、沸き上がるベンチに向かって豪快なガッツポーズを決めた。「山口さんを助けてあげたかった。少し詰まったけど、狙っていた最初のストライクを思い切り振り抜いた。越えてくれてホッとした」。9回140球、1失点完投のエース左腕・山口祥吾(3年)の力投に応えた。

意地だった。背番号は「5」。西部地区予選を通じて主力として戦ってきたが、犠打失敗や失策を理由に初めてスタメンを外された。「悔しかった」。試合終盤で訪れた“挽回”の好機で、佐野心監督(55)の起用にも「一発回答」した。

準優勝した2020年夏の代替大会以来、春は初の決勝進出。春秋通じて初の東海大会出場も決めた。初の夏シード権獲得、初4強に続いて、また歴史を塗り替えた。決勝は、名門・静岡高に挑む。佐野は「チャンスがあったら仕留められるように、意識を高めていきたい」と気を引き締めた。次は「初優勝」の3文字を、浜松開誠館の歴史に刻みにいく。【前田和哉】

■静清、一時は追い付いたが…

10年ぶりの東海大会に届かなかった。7回まで無得点。8回1死三塁で主将の馬場愛士(かなと)外野手(3年)がスクイズを決め、同点としたが、その裏の3失点で力尽きた。長田仁志監督(68)は「よく頑張った。3安打だけだったけど、スクイズでよく1点を取った」と高評価。馬場は「全員の闘争心が足らなかった。3位決定戦には悔しさをもって臨む」と力を込めた。