十勝地区は、昨秋全道8強の白樺学園が帯広三条を13-6で下し初戦突破した。公式戦初スタメンの矢野侍汰(じいた)一塁手(3年)が2回1死満塁で左越えに満塁弾を放つなど3安打4打点。3発11安打13点大勝に貢献した。大リーグ元ヤンキースの名遊撃手デレク・ジーター氏(47)を敬愛する好打者が、今春就任の亀田直紀新監督(35)に初白星を贈った。

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稚内生まれの“ジーター”が、かっ飛ばした。6点リードの2回1死満塁、矢野は迷いなく、初球から反応した。「狙っていた」という内角低めの直球をかち上げると、打球は左翼スタンドへ一直線。通算4号、公式戦初の1発は、102メートルの豪快な満塁弾となり「長打で一気に点が取れたらと思っていた。気持ち良かった」と振り返った。

男3人女1人の4人きょうだい。札幌学院大外野手の兄は球太(きゅうた)さん、弟は燦太(さんた)さんと、男の兄弟はすべて名前の一部分に「太」が付く。次男の矢野は走攻守そろった名遊撃手デレク・ジーター氏にちなみ「侍汰(じいた)」と名付けられた。稚内の自宅には引退記念Tシャツなど、ジーターグッズがたくさん飾られており「いつかはジーター選手のような選手になりたい」と夢を描いた。

今はまだ、あこがれの存在に近づくための過渡期だ。デビュー戦となった昨秋十勝地区予選の帯広南商戦で、いきなり代打で左翼線二塁打を放ち2打点をマークも、守備が課題で全道大会含め先発出場はかなわなかった。冬場に亀田監督(当時は部長)から「打球から目を切るのが早い。もっと長く見て捕球しなさい」と指摘を受け改善。「もともと打撃はいいし足もある。ここにきて守備も丁寧にできるようになった」と言う同監督の先発起用に応え、この日は守っても無失策で乗り切った。

現役時代のジーター氏は191センチ、89キロ。矢野は入学時102キロも「高校の厳しい練習を続けていたら自然と絞れた」と現在90キロで、身長はまだ足りないが、昨秋から4センチ伸び183センチになった。「外の球を逆方向にきれいに打ち返す打者が目標。ジーター選手のように広角に打てるようになりたい」。この日はセンターから左方向へ3安打。徐々に右方向への安打も増やし、体格同様、打撃スタイルも「ニューヨークの貴公子」に寄せていく。【永野高輔】

◆矢野侍汰(やの・じいた)2004年(平16)6月16日、稚内市生まれ。稚内東小1年時に稚内スポーツ少年団で野球を始める。稚内東中時は宗谷BBCでプレー。白樺学園では昨秋の十勝地区予選から背番号13でベンチ入り。全道大会では1回戦の帯広工戦で代打出場。家族は両親と兄、弟、妹。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。血液型A。