空知地区で滝川が砂川に10-0の5回コールドで勝ち、代表決定戦に進出した。昨夏の北北海道大会で51年ぶり勝利に貢献したエース矢野佑汰投手(3年)が4回を無安打無四球、打者12人で抑える好投で、流れを引き寄せた。昨年8月に右肩の脱臼癖を治すため手術。今春も登板を回避し最後の夏にかけてきた主戦が、11カ月ぶりに公式戦登板し、チームを昨夏以来1年ぶりの公式戦勝利に導いた。

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矢野が、ほぼ完璧な投球で勝利につなげた。初回先頭打者への初球が左翼ポール横に消える大ファウルに。あわやという打球に「久々の登板で緊張したが、あれで気持ちが楽になった」と切り替え、3回まで完全投球。4回1死から味方の失策で走者を出すも、次打者を併殺に切って取り、結果的に4回“12人斬り”で、初戦突破に貢献した。

畑瀬善信監督(46)は「よくここまで辛抱してくれた」とねぎらった。昨夏北大会では初戦の中標津戦に登板し51年ぶり勝利に尽力。準々決勝の7月18日旭川大高戦に登板後、右肩の脱臼癖を治すため8月に手術を受けた。1月に投球開始も、4月下旬に痛みを感じたため春季大会は大事を取って左翼手で出場。地区初戦で岩見沢農に敗れ「自分で投げららないことがもどかしかった」。348日ぶりの復帰登板で結果を出し「最後の夏に間に合って良かった」と笑顔で話した。

リハビリ中の取り組みも生きた。秋から冬にかけ、精力的に走り込みと腹筋や下半身のトレーニングに没頭。スクワットプレスは20キロ重い150キロまで上げられるようになり「投げていて、去年のような疲れを感じなくなった」。肩への負担をなくすため「肘から投げるような意識で」フォームも微調整し、最後の夏に備えてきた。

北大会で8強進出した1学年上の先輩たちが考えてくれた現チームのスローガンは「必笑」。ベンチに戻る際は満面の笑みで駆け戻った。3日の代表決定戦の相手は今春センバツ出場のクラーク。「やるべきことをやるだけ。1つずつ勝って先輩たちを超えたい」。ケガを克服したスマイルエースが、難敵に挑む。【永野高輔】