<シン・うるうるマン:小樽桜陽・五十嵐幹太二塁手(3年)>

5回2死、2ストライクからの3球目、思いをこめ振り抜いた打球は、力なく二塁後方に上がった。「自分のスイングを、と思ったのだけれども。フライになってしまって。何とも言えなかった」。一塁を駆け抜ける前に中堅手に捕球され、天を仰いだ。主将として「何とかやってやろうと思っていたのに」。ベンチ前に並び相手校歌が流れると、涙があふれ出た。

新チーム最初の大会だった昨秋は地区代表決定戦まで進み、この日と同じ北照に0-10で5回コールド負けを喫した。その後、マネジャー含む6人が受験勉強のため退部。2年2人、1年2人の計4人で冬を越えた。毎日の40分間走と、週3回の筋力トレを続け「僕たちはやれる準備をやって、あとは新1年生が入ってくれるのを願うばかりだった」と振り返った。

今春、1年生が8人入部し、単独参戦が可能に。最後の夏、北照と同ブロックに入り「もう1度北照への挑戦権を得てリベンジしたかった」と初戦突破。雪辱は果たせなかったが、2回2死一塁では一、二塁間を抜けるかという鋭い打球に飛び付き二ゴロに。守備で爪痕は残した。「秋は0点だった僕らが1点取れた。この経験を生かして、後輩たちには強い私立を倒せるようになってほしい」。10人の1、2年生が意志を引き継ぐ。【永野高輔】