「舞洲打法」披露!! 3月のセンバツ優勝校で甲子園春夏連覇を目指す大阪桐蔭が関大北陽との強豪校対決を完勝した。同点の4回に1点勝ち越した後、伊藤櫂人内野手(3年)が2試合連続の本塁打を左翼に放った。この日は強烈な逆風が吹き、西谷浩一監督(52)は「低い打球を打て」と指示。完璧に実践したアーチだった。球場の特徴を熟知し、戦い方を指南。昨夏は延長14回の死闘の末に勝った相手に大勝した。

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逆風を切り裂いて白球はグングン伸びた。また伊藤だ。4回、併殺打の間に1点を勝ち越したが、2死走者なしになった。完璧にとらえ、ライナーで左翼席に放り込んだ。18日の大手前戦から2戦連発。公式戦通算14発目を振り返った。

「1点取ってもらって少し余裕ができた。我が出るといい結果が出ない。つないでいこうと。風が強かった。いくと思わなかった」

打席で伊藤は心掛けていることがあった。「低い打球を意識していた。舞洲はよく風が吹く。フライを上げると、簡単にアウトになる」。この日、外野後方の大阪湾からバックネット裏に向かって強風が吹き込んできた。飛球は浮いて押し戻される。大阪桐蔭は舞洲の戦い方を知り尽くしている。西谷監督は試合前、指示を出した。「しっかりたたいていこう! 低いライナーを打つイメージだ」。伊藤が実践し、主導権を握るソロ本塁打になった。

百戦錬磨の常勝チームならではの戦いだった。まるで「孫子の兵法」だ。用兵のバイブルにも「戦いの地を知り…」とある。地形に応じた戦い方を重視する。7回、強烈なゴロやライナーで4安打を集中し、4点奪取。大勢は決した。風はやまず、バックスクリーンの旗はずっとはためいていた。指揮官も言った。

「今日は特にキツかったですね。本当に厳しい、難しい感じだった。ミートしても吹き上がってしまう。放り込める打者はなかなかいない。あるとするなら、ライナー性の打球。今日の伊藤はそうですね」

指揮官は同点の4回無死一、三塁で、先発の川原嗣貴投手(3年)に代打を送り、継投に入った。「つないでいこうと、最初から思った」。3投手のリレーで1安打1失点。投打で盤石だった。この日から9日間で6試合の過密日程だ。投手陣の陣容から、先の戦いも見通していく。過酷な大阪戦線は、名将の戦略眼がモノを言う。【酒井俊作】