2年連続の夏全国制覇を目指す智弁和歌山が、4本塁打で甲子園切符をつかんだ。公立の桐蔭に粘られ、7回まで1点差の接戦になった。見せ場は8回。1死二塁で、元阪神の中谷仁監督(43)は打席へ向かう塩路柊季(しゅうき)投手(3年)に指示を送った。

「打て! バットを短く持てばいい」

それまで3打席凡退。「また打てないだろうな」-。自信を失いつつあった心に火をともした。高めの速球を振り抜く。打球は左翼の頭上を越えた。大会初本塁打となる2ランが貴重な追加点となり、この回だけで一挙5得点。それまで毎回安打を放ちながら突き放せずにいた打線が、ようやく爆発した。

塩路は投げても被安打7、奪三振5で2失点の完投勝利。序盤は速球中心に組み立て、途中から変化球を織り交ぜて投げきった。昨夏の日本一にも貢献した塩路は「(本塁打は)監督に言われた通り振ったら入りました。気持ちよかったです。夏連覇はチーム全員で目標にしているので、狙いたい」と笑顔を見せた。

2回に青山達史内野手(2年)が先制ソロ。6回にソロ、8回に2ランといずれも初球を外野席へ運び、2本塁打の渡部海捕手(3年)はキッパリと言う。

「まだ通過点。昨年は足が使えるチーム。今年は長打があり困った時に1本が出る。打線では(昨年のチームに)負けていません」

中谷監督の視線も、真夏の頂点を見据えた。

「1発で流れを持ってくるようないいスイングを選手たちがしてくれた。全員で優勝旗を返しに(甲子園に)行って、また全員で持って帰ろう。それが合言葉です」

史上7校目の連覇へ。智弁和歌山は、これから夏本番を迎える。【益子浩一】

◆智弁和歌山 1978年(昭53)創立の私立校。普通科。生徒数770人(女子310人)。野球部は79年創部で部員数40人。甲子園出場は夏26度目で、春は14度。優勝は春1回、夏3回。OBに楽天西川遥輝、中日岡田俊哉ら。和歌山市冬野2066の1。宮口祐司校長。

▽楽天西川(母校智弁和歌山の優勝に) 甲子園出場、おめでとうございます。選手の皆さんの努力のたまものだと思います。和歌山県全校の夢を背負って頑張ってください。

▽楽天黒川(母校智弁和歌山の優勝に) 皆さんの頑張っている姿が僕自身、とても励みになっています。2年連続の優勝を目指して、ひたむきに頑張ってほしいと思います。