プロ注目の左腕、明徳義塾・吉村優聖歩(ゆうせふ)投手(3年)は初戦で散った。明徳義塾が夏の甲子園で初戦敗退するのは15年以来。出場22回目にして2度目の早期敗退となった。進路については「監督さんと相談する」とこのタイミングでの明言は避けた。

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昨夏号泣した吉村は、もういなかった。21年夏の甲子園。準々決勝の智弁学園戦で先発し、8回まで1失点投球。同点の9回にエースで主砲の代木(現巨人)が勝ち越しソロを放ち、あとアウト3つでベスト4まで迫った。しかし、その3つが遠かった。連打と2死球で同点とされ、右前適時打でサヨナラ負けを喫した。ベンチ前では泣きじゃくった。当時のエース代木からは「おまえは泣くな。また来年、戻ってこい」と背中をさすられ、励まされた。

それから1年。「この経験を生かして自分の代で頑張ろう」と、前を向いて歩んできた。試合前にはコーチを介して代木から「吉村は去年の経験もあるから、うれしい思いも悔しい思いも両方忘れずに、みんなを引っ張っていって頑張ってくれ」とメッセージをもらった。

試合は味方ミスも絡み、2失点(自責1)ながら敗退。「最後の試合なので思い切りいけた。ピンチも抑えられた。悔いが残るところもあるが出し切れた」。8回135球を投げ抜き、左腕の目に涙はなかった。「やりきった」。チームメートの背中をさする側に回っていた。【前山慎治】

▽明徳義塾・池辺(主将。6回に右前打も初戦敗退)「ミス絡みで負けてしまった。守備での1球の重み、チャンスでの1球が大きかった」

▽明徳義塾・寺地(2安打も、4回に三塁守備で決勝適時失策)「打撃は良かったけど、守備は自分のエラーが決勝点になった。自分のせいで負けた試合」