おばあちゃん、勝ったよ! 

聖光学院のエース佐山未来投手(3年)が5安打2失点で完投。春夏甲子園の対神奈川勢6戦目で初勝利をもたらし、横浜からは三度目の正直で1勝した。「仲間も、支えてくれた人もそうですし、おばあちゃんにも『ありがとう』という思いです」。この日最速の140キロ直球に加え、変化球も低めに制球。ストライク先行で相手打線を翻弄(ほんろう)した。

3-2の7回1死二塁、まずは杉山を139キロ直球で空振り三振。続く鉾丸をカウント2-2と追い込むと、捕手山浅のサインに何度も首を振る。「ピンチで流れが悪く、自分が投げたい球、自信のある球でいこう」。最後は低めに投じた121キロスライダーで一ゴロ。一塁伊藤がベースを踏むのを見届け、右拳を突き上げた。

おばあちゃん子だった。今春センバツを車椅子席で見守っていた祖母久子さんは、5月29日に71歳で他界。6月の東北大会からは遺骨が入ったペンダントを身につけ、一緒に戦う。「『マウンドで1人じゃない』と思うと心強いです」。初戦は2番手で4回2/3を4安打無失点。天敵・神奈川勢を破り、先発白星を天国にささげた。【山田愛斗】