聖光学院(福島)が強い! 投打盤石の完勝で福井勢から甲子園初勝利。敦賀気比を8-1で下し、16年以来6年ぶりに8強入りした。

東北勢2校の準々決勝進出は、仙台育英(宮城)、八戸学院光星(青森)が勝ち上がった19年以来3年ぶりとなった。過去2試合は接戦をものにしてきたが、この日は14安打と打線が爆発。投げてはエース佐山未来投手(3年)が7回6安打1失点と好投し、2番手・小林剛介投手(3年)が、2回無安打無失点で締めた。18日の準々決勝は九州学院(熊本)と対戦する。春夏通した甲子園での最高成績は8強(5度)。初の準決勝進出へ「壁」を越える。

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聖光学院が勝利への執念を随所に示した。9回2死走者なし。2番手・小林剛が最後の打者を二飛に打ち取ると、左手でガッツポーズ。わずか7球で敦賀気比打線を3者凡退に封じた。主将の赤堀颯内野手(3年)は「今日、負けなくて良かった。ただそれだけです」。6年ぶりの8強にも浮かれない。短い言葉でナインの思いを代弁した。

大量リードでも1点にこだわった。8-1の7回無死二、三塁。佐山が遊ゴロに打ち取る。捕球した赤堀は一塁ではなく、本塁に迷わず送球。2点目を与えなかった。「打球が強かったので、捕ってから一塁に1発で投げる必要はなく、三塁走者を見て投げようと。スタートが遅く、こっちでもアウトを取れると思ってホームに投げました」。2死一、三塁では、風に流されて対応が難しい打球を背走して遊邪飛。「とにかく食らいついて『本能的に、本能的に』という試合をしました」と泥臭く戦った。

初回の守備では山浅龍之介捕手(3年)がビッグプレーだ。先頭に二塁打を許し、佐山が次打者の犠打の処理で失策。無死一、三塁のピンチを背負う。佐山が空振り三振で1死とし、続く4番の3球目に一塁走者がスタート。山浅の強肩が発動し、二盗を阻止した。「あの場面は(二塁)高中がうまく入ってくれて、自分だけの力で刺せたと思っていない。佐山のクイックも良かったし、いろんなやつに感謝です」。最後は右飛でこの回を無失点で切り抜けた。

攻撃面もさえた。初回に安田淳平外野手(3年)が右越え適時二塁打で先制し、同点の3回には勝ち越しの右越え2ラン。5回には赤堀が2点適時三塁打を放つなど4点追加。5回までに10安打8得点と前半で試合を決めた。

聖光学院は「守りが信条」のチームだが、この日は攻撃も光った。斎藤智也監督(59)は言う。

「想像を超えるような出来すぎの試合。5回までであんなにワンサイドでいくと思っていなかった。バッター陣の反応が上がり、ある程度打ってくれるのではと期待していた。それ以上の成果を中盤までに生んでくれてビックリしました」

目標の日本一、東北勢初の全国制覇まで、あと3勝だ。まずは春夏通して初の4強に挑む。【山田愛斗】

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