今夏甲子園大会で浅野翔吾外野手(高松商)など高校日本代表メンバーの一部を見てきた田村藤夫氏(62)が、U18W杯の初戦イタリア戦をテレビで観戦。浅野を中心に解説する。
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7イニング制だけに、9イニングよりも先取点がより大きな意味を持ってくる。その中で先頭打者浅野のバッティングはチームに勢いをもたらした。内容も良かった。
第1打席、イタリアの先発は技巧派タイプの右腕。球速は130キロ出るか出ないかで、画面越しに見る範囲では、いわゆる日本で言う真っすぐは1球もなかった。初回の初打席はカウント1-2から左翼線へ二塁打を放った。
初球 外のツーシームを空振り。
2球目 外のチェンジアップを空振り。
3球目 インコースへのチェンジアップかツーシームが外れてボール。
4球目 初球と同じ外角高めのツーシームをライナーで左翼へ運んだ。
打席での対応力が感じられた。先述したように国際試合の初戦では先取点が重要になる。相手の実力は分からない。さらに打者は初見の投手を打たなければならない。日本ではあまり対戦経験がない球筋を打つのは難しいが、打席の中でしっかり順応していた。
初球、2球目の空振りでタイミングをはかり、動くボールに対する目付けを工夫している。バットの先だったかもしれない。浅野からすればセンターから左中間へ運ぶコースだったが、球速が遅いなかで、よく反応して打った印象だ。
第2打席はレフト前に落ちる2点タイムリー。
初球 スライダーを見逃してストライク。
2球目 外へのツーシームがボール。
3球目 外角低めへのスライダーをうまく拾ってヒットにつなげた。
ここでもはじめてみるスライダーの軌道をよく見ている。カウント1-1からこの打席2球目のスライダーを打ちにいって、やや幸運なヒットにはなったが、確実に走者をかえした。
イタリアチームの先発の球速、変化球のキレを見ると、浅野の力量からは打って当然と感じる部分はあるだろうが、やはり初見の投手を第1打席からしっかり仕留めた対応力は光る。
なかでも走塁で驚かされた。初回犠打で1死三塁から、松尾(大阪桐蔭)の浅い右飛でタッチアップ。ライトは前進しながらの捕球する浅いフライだった。甲子園ならスタートできたかと感じる微妙な当たりだった。結果として送球が大きくそれ楽々先制のホームを踏んだが、走塁でも能力の高さを示した。
雨で開始が遅れ、途中でも中断があった。そうした部分に影響を受けず、しっかり6点を奪い、守っても松尾が3投手を零封リレーに導いた。日本チームとしてはいいスタートが切れた。(日刊スポーツ評論家)
◆日本代表の先発メンバー
1(左)浅野翔吾(高松商)
2(三)赤堀颯(聖光学院)
3(捕)松尾汐恩(大阪桐蔭)
4(指)内海優太(広陵)
5(中)海老根優大(大阪桐蔭)
6(右)黒田義信(九州国際大付)
7(一)伊藤櫂人(大阪桐蔭)
8(遊)光弘帆高(履正社)
9(二)藤森康淳(天理)
投手 生盛亜勇太(興南)