今春センバツに出場した花巻東(岩手)の田代旭前主将(3年)と宮沢圭汰内野手(3年)が首都大学野球1部の筑波大(茨城)へ進学する。2人は保育園からの幼なじみコンビ。新たな舞台で再びお互いを高め合っていく。田代は高校通算52本塁打を誇る捕手で、4年後のドラフト「上位指名」を誓った。同25本塁打の宮沢は「遊撃1本」にこだわり、さらなるスケールアップを目指す。

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悩んだ末、田代は筑波大への進学を決めた。「高卒プロ入りを目指していたが、自分にはまだプロで通用する実力がないと感じた。大学でレベルアップを図りたい」と決意をにじませた。花巻東では高校通算52本塁打を誇り、主将で「不動の4番」。守備の捕手では二塁送球タイム1・8秒台をマーク。みちのく屈指の強肩強打の逸材で、プロも注目していた。それでも、大学でさらなるスケールアップを目指す覚悟を固めた。

「やり残した感はある」。高校3年間を振り返り、率直な心境を打ち明けた。昨秋は同校初の東北王者となり明治神宮大会、センバツに出場。夏の岩手大会も優勝候補筆頭に挙がるも、準決勝敗退。オリックス3位指名を受けた盛岡中央のエースで最速152キロ右腕、斎藤響介(3年)を打ち崩すことができなかった。「最後の最後に結果が出なくて、悔しい思いをした。夏の敗戦を常に忘れないで、あの負けがあったからと言えるように大学でプレーしていきたい」と巻き返しを誓った。

再びお互いを高め合っていく。宮沢とは保育園からの幼なじみ。小学1年の時に一緒のタイミングで野球を始め、常に同じチームで汗を流し、白球を追いかけてきた存在だ。「たまたま一緒になっている」と2人は口をそろえるが、田代は「何か縁を感じています」と笑った。新天地でも切磋琢磨(せっさたくま)しながら研さんを積む。

世代トップクラスの実力をつけて、夢のプロ入りを果たす。4年後の目標には「大学ナンバーワン打者と言われたい。4年間もあるのでしっかり力をつけて、上位指名で目標とするプロ入りを目指す」と、力強く宣言した。【佐藤究】

■打てる内野手目標

「遊撃1本」で勝負だ! 宮沢は強いこだわりを口にした。「ショート1本で大学でもやっていく。内野の要でもあるショートで目立つ活躍ができるように頑張りたい」と、花形のポジションで一旗揚げる。花巻東では「1番遊撃」を主戦場とし、明治神宮大会とセンバツを経験。攻守でチームを引っ張り続けた。「内容の濃い高校3年間でした。花巻東での学びを生かし、後輩たちのお手本になるような選手になっていきたい」と力強く誓った。

現在は筋力トレーニングに加え、ティー打撃で木製バットの感覚を養っている。さらに、憧れの選手でもある明大・宗山塁内野手(2年=広陵)のプレー集をYouTubeで視聴するなど、イメージを膨らませている。「宗山さんのように打てる内野手を目標に、1年生から試合に出場して、活躍していきたい。不安もありますけど、自分が大学でどこまで通用するのか、楽しみでもある」と大学では1年目から「レギュラー定着」を狙っていく。

◆田代旭(たしろ・あさひ)2004年(平16)4月6日生まれ、岩手・遠野市出身。小1から上郷野球スポーツ少年団で野球を始め、遠野東中時代は金ケ崎リトルシニアに所属。花巻東では1年秋にベンチ入り。180センチ、83キロ。右投げ左打ち。好きなプロ野球選手はエンゼルス大谷翔平。

◆宮沢圭汰(みやざわ・けいた)2004年(平16)11月15日生まれ、岩手・遠野市出身。小1から上郷野球スポーツ少年団で野球を始め、遠野東中時代は金ケ崎リトルシニアに所属。花巻東では1年秋にベンチ入り。170センチ、74キロ。右投げ左打ち。好きなプロ野球選手は、西武・源田壮亮。